2023/02/21 09:00
ワインは、土地の気候、土壌、風土などの影響を受け、その地域で栽培されたブドウの味わいや特徴を反映します。この影響を指す言葉として、「テロワール (terroir)」という用語があります。
テロワールとは
テロワールとは、フランス語で「土地」という意味です。ワイン業界では、葡萄畑の土地、気候、風土、文化的背景、そしてその地域に伝わるワイン作りの技術など、複数の要素によって構成される総称です。つまり、テロワールとは、葡萄畑の栽培条件を含む、ワインに関わるあらゆる自然的、文化的な環境要因を指す言葉です。
テロワールが与えるワインへの影響
土壌
土壌の種類や構成、栄養分は、ワインの風味やアロマ、ブドウ園の健全性に大きな影響を与えます。例えば、特定の土壌が特定のブドウ品種に適していたり、土壌のpHやミネラル成分がブドウの風味に影響することがあります。
気候
気候もワインの味に影響を与えます。日照量の多い温暖な気候で育ったブドウは、糖度が高く、芳醇な味わいのワインになる可能性があります。一方、冷涼な気候で育ったブドウは、糖度が低く、繊細な味わいのワインになる傾向があります。
地形
地形もワインの味に影響を与えます。例えば、丘陵地で栽培されたブドウは、土壌の種類、水捌け、日光の当たり方などの違いにより、平地で栽培されたブドウと異なる風味を持つことがあります。
文化的な環境要因
剪定、棚立て、灌漑などの文化的実践は、ワインのテロワールに影響を与えます。これらの行為は、ブドウの木の成長と健康状態、そしてブドウの風味と品質に影響を与えます。
テロワールの概念は、特定のブドウ園における環境要因と文化的慣習の組み合わせが、ワインの特徴や品質に貢献することを認めています。
テロワールの影響を小さくする方法
テロワールの概念は、ワインのアイデンティティと個性に不可欠な要素であるため、テロワールの影響を軽減することは、複雑で議論を呼ぶ可能性があります。しかし、テロワールがワインの味に与える影響を軽減するために、ワインメーカーが用いることのできるテクニックがいくつかあります。大量生産のメーカーでは品質のバラツキを抑えるためにこれらの手法を用いることがあります。
ブレンド
異なる年代、産地、品種のブドウをブレンドする。異なるブドウ品種をブレンドすることで、各ブドウの風味や特徴のバランスを取り、テロワールの影響を軽減することができます。異なる畑や産地のブドウをブレンドすることで、ワインメーカーはより安定した風味と品質を持つワインを造ることができます。
近代的なワイン醸造技術
近代的なワイン醸造技術を使用する。温度管理された発酵、オーク樽熟成、マイクロ・オキシジェネーションなどの近代的なワイン醸造技術は、ブドウやテロワールの風味や特徴を隠すのに役立ちます。しかし、これらのテクニックを多用すると、複雑さやニュアンスに欠けるワインになる可能性があります。
土壌操作
土壌を操作する。ワインメーカーの中には、土壌を操作してテロワールの影響を軽減しようとする人がいます。例えば、土壌に肥料や石灰などを加えて、酸度や栄養レベルを変化させることがあります。しかし、この方法には賛否両論があり、結果として真正性や個性に欠けるワインになる可能性があります。
テロワールの影響を減らすことのメリット
テロワールとは、土壌、気候、地形などの自然要因の組み合わせで、ワインの風味、アロマ、品質に大きな影響を与えることがあります。しかし、ワイン醸造においてテロワールの影響を軽減することで、いくつかの利点が生まれる可能性があります。
一貫性
テロワールの影響を減らすことで、ワインメーカーはヴィンテージごとに風味と品質の一貫性があるワインを造ることができます。これは、安定した味と品質の製品を生産することを目的とする大規模な商業ワイナリーにとって、特に重要なことです。
柔軟性
テロワールの影響を減らすことで、ワインメーカーは栽培できるブドウ品種や生産できるワインのスタイルに、より柔軟性を持たせることができるようになります。これにより、様々なスタイルを試し、変化する消費者の嗜好により適したワインを生産することができるようになります。
品質の向上
テロワールはワイン醸造にプラスに働くこともありますが、マイナスに働くこともあります。テロワールの影響力を弱め、ブドウの選択、発酵技術、樽熟成など他の要素に注力することで、ワインの全体的な品質を向上させることができるかもしれません。
しかし、テロワールの影響を減らすと、その産地の個性や表現力が弱くなる可能性があることにも注意が必要です。また、ワイン愛好家の中には、テロワールをワイン文化や生産の重要な側面として評価する人もいるため、その影響を減らすことのメリットは、個人の好みや優先順位に左右されるかもしれません。
ワイン醸造におけるテロワールの影響を減らすことは、潜在的なメリットがある一方で、いくつかのデメリットも考慮しなければなりません。
テロワールの影響を減らすことのデメリット
信憑性の喪失
テロワールはワイン文化と伝統の重要な側面であり、多くのワイン愛好家は特定の産地から生まれる独特の風味や特徴を高く評価しています。テロワールの影響を減らすことで、ワインメーカーは産地との結びつきが弱くなり、信憑性に欠けるワインを生産する危険性があります。
均質化
テロワールの影響を減らすことで、ワインメーカーは他の産地のワインと似たような、より特徴のないワインを造る可能性があります。その結果、多様性が失われ、ワインスタイルが均質化する可能性があります。
環境への影響
テロワールは様々な自然要因の影響を受けますが、その影響を減らすために、ワインメーカーは化学肥料、農薬、灌漑を増やし、自然要因の損失を補わなければならないかもしれません。これは、環境やブドウ園の長期的な持続性に悪影響を及ぼす可能性があります。
ブランディングへの影響
テロワールは、ワインのマーケティングやブランディングにおいて重要な要素であり、その影響力を低下させると、ワイナリーが混雑した市場で製品を差別化することが難しくなる可能性があります。これは、テロワールをセールスポイントとしている中小のワイナリーの収益性に悪影響を及ぼす可能性があります。
全体として、ワイン醸造におけるテロワールの影響力を低下させるかどうかは、これらのメリットとデメリットのバランスを取る必要があり、複雑な判断が必要です。
多くのワインメーカーはテロワールの概念を受け入れ、ワインのアイデンティティと品質にとって不可欠な要素であると考えています。そして、産地特有の風味や特徴を守りつつ、新しいスタイルや技術を試行錯誤し、そのバランスを取ることに努めています。
最終的に、テロワールとどのように向き合うかは、ワインメーカーの哲学やワインに対する目標によって決まります。
BENDIDAワイナリー
BENDIDAワイナリーのワインはすべて添加物や操作を抑えた低干渉ワインでブルガリアのテロワールとブドウの持つポテンシャルを存分に味わうことができます。
特に、No Oakシリーズは樽を使用していないので高品質なブドウ由来の味をしっかりと感じ取る事ができるワインとなっています。
ブルガリアワインのポテンシャル、その素晴らしさを味わいたいならBENDIDAのワインをおすすめします。